恋文
- お題投稿者:
マジェスティ- 投稿日時:
- 2008-11-13 20:04
- コメント
- せつない系のものを書いてみたかったけど見事に玉砕^○^)/
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山下 チヨ 様江
もうしばらくすると春ですね。
故郷の様子はいかがでしょうか?
きっと山は新緑で覆われて、桃色の花を散りばめて。
あぁ、目に浮かんでくるようです。
あなたがその下で笑んでいる場面が、まるで私の中の銀幕に焼き付いてしまったかのように。
私はあなたに謝らなければなりません。
突然のお手紙、先日の帰省予定の反故、そして先往く不幸。
私、東城 功は先日、第一航空軍指揮下の元結成された特別攻撃部隊への配属が決定、通達されました。
これは大変名誉なことであり、人一倍優しい気性のあなたでも、涙する必要はありません。
私は国を守りに往くのです。あなたの住むこの国を守りに。
逝くのではなく、往くのです。
後悔、未練はありません。
だから、どうかこの紙を濡らさないでくださいね。
良ければあなたの箪笥の奥の奥。髪結い道具と共に置いて欲しいのです。
そうして時折、読み返していただきたいのです。
その時に文字が滲んでいたら、あなたの視力を戻す方法が私にはわからないのですから。
あぁ、あなたに恋をして良かった。
あなたに恋されて良かった。
惜しくも愛に変わることは叶わなかったけれど、私はそれを胸に留めて往けるでしょう。
あぁ、もうしばらくすると春ですね。
故郷の様子はいかがでしょうか?
屋根の雪はもうとけましたか?
湖の氷もとけたでしょうね。
駅前の並木にも、つぼみが膨らんできたかもしれません。
けれど未だ寒い風にあなたは頬と指先をあかく染めて、この手紙を知らずに家の仕事をなさっているのでしょう。
きっと山は新緑で覆われて、桃色の花を散りばめて。
あぁ、目に浮かんでくるようです。
あなたがその下で笑んでいる場面が、まるで私の中の銀幕に焼き付いてしまったかのように。
それでは、いってまいります。
昭和二十年三月十二日 東城 功(トウジョウ イサオ)
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※本文中の名称などは参考資料はありますがすべてフィクションとお考えください。
※戦争について多々考え方はあると思いますが今回のお題は戦争を奨励するもの、批判するものどちらでもありません。 - タグ:







